F&Aレポート
F&Aレポート 2015年3月30日号 Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.
働く意味、仕事の価値2 〜「キャリア」への理解と「キャリア」を拓く重要性
■ キャリアとは、単に職業の経験を積むという意味ではありません。アメリカのキャリア研究者であるドナルド・E・スーパー(1910?1994)は、「生涯においてある個人が果たす一連の役割、およびその役割の組み合わせである」と述べています。
■ スーパーのキャリアに対する定義は、狭い定義(役職や職歴)だけではなく、キャリアというものは、個人が生涯にわたって仕事や社会とどのように向き合い、どのように関わっていくのかということすべてがキャリアであるという、もっと広い定義があるということを示唆しています。
■ 厚生労働省の報告書によると、キャリアとは「一般に『経歴』『経験』『発展』、さらには、『関連した職務の連鎖』等」と表現され、時間的持続性ないしは継続性をもった概念とされています。キャリアを積んだ結果として、職業能力が蓄積されていくものととらえています。
■ 以上のように、職業人として、市民として、または家族の一員として、どれだけ主体性を持って選択し行動し続けていくのかが、キャリア開発になり、その積み重ねが、あなたのキャリアとなるわけです。日本的雇用習慣が終焉し、「自律(自立)型社員」が求められる今、どのようにキャリアをデザインしていくかは、個人にとっても企業にとっても重要になってきました。(キャリアデザイン研修 畔柳修 著)
「労働者は組織よりも長命であって、しかも移動自由な存在である。その結果、彼ら働く者が自己をマネジメントしなければならなくなったということは、人間社会において一つの革命がもたらされることを意味している」(ピーター・ドラッカー)
1.キャリア/キャリア開発とは
★ キャリアの定義
「仕事を中心とした、その人自身の人生の生き方そのものとその表現のしかた」
★キャリア開発とは「働くこととかかわりながら、自分はどのように生きていくかを考え、自分のゴールを設定し、“なりたい姿・ありたい自分”を表現していくこと」
安易な表現になりますが、「自分らしい充実した仕事人生」をどう切開いていくかとも言い換えることができます。この「自分らしく」は、「自分らしい仕事に就きたい」「自分らしい活躍がしたい」「自分らしく働きたい」など、誰もが気軽に用いるキーワードになっています。「仕事を中心とした、その人自身の人生の生き方そのものとその表現のしかた」
★キャリア開発とは「働くこととかかわりながら、自分はどのように生きていくかを考え、自分のゴールを設定し、“なりたい姿・ありたい自分”を表現していくこと」
では、「あなたらしさとは何ですか」と尋ねられたら明確に即答できるでしょうか。また、「あなたの強みを3つ聞かせてください」「あなたの大切にしていることは何ですか」と問いかけられたら即答できますか?
誰もが「自分らしく充実した仕事人生を過ごしたい」と願いますが、自分がわからなければ、自分らしく活躍しようがありません。まず、自分らしい充実した仕事人生を過ごすためには、自分らしさを知ることです。自己理解なくして、キャリアを開発することはできないのです。
2.自己理解(自己洞察)の方法
自己を理解するにはどうすればいいのでしょうか?いくつかの方法があります。
1つ目は、過去から現在を振り返り、自分と対話を繰り返し、客観的に分析するという作業です。「キャリアの軌跡」を確かめながら、自分の強みや価値観などを明確にします。
2つ目は、信頼性や妥当性の高い心理テストや適性検査などで、自分を見つめる方法です。「あなたの強みは○○です」「あなたの改善点は△△です」といった結果から気づきを得たり、自分の理解を深めたりすることができます。
3つ目は、周囲からフィードバックをもらうことです。「あなたのキャリアの軌跡を聞いて、私は○○がとても強みに感じます。また、今朝からご一緒していて、ずっと○○がすごいなあと感じていました」などとフィードバックをプレゼントされると「そんな風に思ってもみなかった」「人にはそう見えるんだな」と自己洞察が得られます。
次回、やりがいに通じる「内的キャリア」と、「キャリアアンカー」について特集します。
[Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.]