F&Aレポート
F&Aレポート 2015年3月20日号 Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.
働く意味、仕事の価値 〜新年度にあたり、問い直してみよう
■多くの学生は、入社試験時に「自分は○○の役に立ちたい」「私は△△に貢献したく御社を選びました」などと入社の動機や働く意味を抱きます。ところが、入社後、忙しく働き続けていると、徐々に余裕がなくなり、目の前の業務に追われ、入社前や入社時の思いや目的、意味を見失ってしまいます。■その結果、ストレスを抱え、メンタル不調や新型うつの発症へ移行することもあります。本当にストレスなのは、仕事量が多いことではなく、意味が感じられないまま、すべき仕事が多いことなのではないでしょうか。■昔は働かないと実際生きていけなかったという状況がありました。だから働く意味を考えずに済んだということもあるでしょう。今は、働かなくても生きていける時代です。だからこそ、働くために「働く意味」を考えることが大切になってきているのではないでしょうか。今、私たちに求められているのは、このような職業意識の再確認であり、自覚ではないでしょうか。(キャリアデザイン研修 畔柳修著)
「人間とは意味を求める存在である。意味を探し求める人間が、意味の鉱脈を掘り当てるならば、そのとき人間は幸福になる」(ヴィクトール・フランクル)
人間にとって一番重い罰、それは「意味の感じられない作業をすること」
ドフトエフスキーが「地下室の首記」で示唆した懲罰に、「重犯罪人に自分の罪を思い知らせるなら、土を掘り移動させてそれをまた元に戻す。ということをさせればよいのだ。しかし、それは全く拷問と同じことになって精神に異常をきたすだろう」と言っています。
また、アルベール・カミュの「シーシュポス神話」では、シーシュポスは神々の怒りを買ってしまい大きな岩を山頂に押して運ぶという罰を受けました彼は神々の言いつけ通り岩を運ぶのですが、山頂に運び終えたその瞬間に岩は転がり落ち、何度も何度も同じことを繰り返すのです。
シーシュポスの辛さは、重い岩を山頂に運ぶという肉体的な辛さでなく、この行為に意味(価値)がない虚しさです。このような意味のない行為は、私たちの心を蝕んでしまうのです。職業意識は決して外から強制されえ醸成されるものではありません。日々の仕事を通して、または対話を通して自由に意見を出し合い、語り合う過程で育まれ伝染し合うものです。働くことに対する真剣さ、熱意など話し合ってみましょう。
働くことの意味
私たち人間が自分の存在意義や社会的価値を示す為には、働くこと(仕事)を通じて何らかの価値を創造することです。働くことは、「自分はここに生きて、存在している」という事実を、自分に対して、そして周囲の人々や世の中に対して、はっきりと証明する行為なのです。
職業とは、他の誰でもない自分の生き方を創る作業
意志の強い人間になる(芳村思風)
人間が人間的に価値ある欲求を持つ為には、人間の本質が心であって、心とは「意味と価値を感じる感性」であることを知る必要がある。意味と価値を感じてこそ人間的な人生は生まれるのである。人間は意味を感じないとやる気にならない。人間は価値を感じないと命に火がつかない、燃えない。意味を感じないで仕事をしている時は、意味のないことをしているのである。価値を感じないで仕事をしているのは、価値のない人生を生きているのである。人生は感じてこそ人生、燃えてこそ人生である。人間は意味や価値を感じればやる気になり欲求が湧いて来て命が燃え意志が強くなるのである。このように考えれば、欲求をわき上がらせ意志を強くする為には、いま自分がやっている仕事の意味や価値や値打ちや素晴らしさや凄さについて理性で考えて、それを感じる感性を養い成長させることが大事である。人間の心は、最高に意味や素晴らしさを感じれば、「このことの為なら死んでもいい」「このことの為に生きて死ねたら本望だ」という気持ちになれる。命そのものは「生きたい、生きたい」と思っているものであるが、命の最高の喜びは「死んでもよいと思えるものと出会う」ことにあるのである。そのときこそ命は最高に輝き、最高に生かされ最高の喜びを感じるのである。死んでもよいと思えるほどの意味を感じた時、意志の強さは無上のものとなる。死んでもよいと思えるものを持って「生きる」ことが命を生かす生き方であり最高の意志の在り方である。
[Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.]
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