F&Aレポート
F&Aレポート 2014年12月10日号 Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.
「名前を、呼ぼう!」
日本人は比較的、名前を呼び合うことが少ない人種だと言われます。欧米なら「こんにちは」「ありがとう」などの定型的で日常的な挨拶でも、相手の名前を呼びかけます。日本語は主語がなくても文章が成り立つ構造をしているため、特に名前を呼ばなくとも分かっている場合はたいてい名前は呼びかけません。ところが、名和えを呼ぶという行為は、相手に重要感を与え、親密度を上げる効果があります。12/5付け、中国新聞夕刊に掲載された筆者のコラム「名前を、呼ぼう!」をご紹介します。
貴方も今日から大切な人には是非、名前を呼んでみてはいかがでしょうか。
その昔、ある男性から「君の姓名判断、調べておいたから」といって、数枚にも及ぶデータを手渡された。ところが、肝心な名前が間違っていて、後味の悪い思いをしたことがある。
アメリカの鉄鋼王アンドリュー・カーネギーは、自社の社員だけでなく下請け企業の社員に至るまで名前を覚えて呼んだという。名前を呼ばれた従業員は、自分たちが大切にされていると感じて、カーネギーの在任中は一度もストライキを起こさなかったとか。
名前を呼ぶことの効果は、「カクテルパーティ効果」といって、心理学でも証明されている。騒々しいパーティー会場でも、自分の名前は聞き取るとことができるという効果だ。
たとえば、家族なら「○○ちゃん、ありがとう」と名前を付けたあいさつにすれば、愛情がより伝わる挨拶になる。ビジネスでも「○○さまは、どんなお仕事をされているのですか」と、会話にあえて名前を入れることで親近感が増す。
メールも同様。定型的な文章であっても名前を入れると、伝わり方が違う。
名前を呼ぶのは、相手のためだけではない。実は私は昔から人の名前を覚えるのが苦手。だから名刺交換の時などは、意識して4〜5回は名前を呼びかけるようにしている。また、研修講師を務めるときも、名簿や名札を駆使して、顔と名前を覚えるよう、ささやかではあるが努力をしている。先日、偶然、数年ぶりにお会いしたある社長は、即座に「直子さん、元気ですか」と言われた。私は名前を覚えてもらっていて嬉しかったし、この方はただの社長ではないなあと敬服した。これぞ、人心掌握のすべなのかもしれない。
[Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.]