F&Aレポート

F&Aレポート 2013年3月30日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

あなたはちゃんと聴けますか? アサーションを知る 2
 〜自他を大切にした自己表現で円滑なコミュニケーションを〜


 アサーションとは、「自分の欲求や意見、気持ち、価値観などを正直に適切に表現すること」で、自分も相手も大切にした自己表現をいいます。アサーションができるためには、自己信頼を深めることと、アサーション権を知ることが助けになります。今回は、この「アサーション権を知る」ということについてレポートします。(アサーション・トレーニング 深く聴くための本 森川早苗著

1.アサーション権を知ろう
 誰でも、人間として生まれながらに与えられている権利が基本的人権です。基本的人権の一つとして、自己表現の権利「アサーション権」があります。
「アサーション権」には基本的なものとして、誰でも「一人になりたい時、一人で過ごしてよい」「依頼を断ってもよい」「欲しいものを要求してよい」など、人間として、しても良いことがたくさんあります。そのことが分かっていると、こんなことをしてもよいのか、言ってもよいのかと迷った時に、判断の拠り所とすることができるでしょう。

 これらを基本的人権として理解する必要があるのは、無意識の人権侵害をしないためです。特に攻撃的な人は、これらの権利が自分にあるのは当たり前だけれど、誰にでもあるということを忘れがちです。  反対にノン・アサーティブ(非主張的、受身的)な人は、自分を抑えてしまうところから、自分の基本的人権を自分で侵害している状態と言えるでしょう。他の人が「してもいいこと」だと思えるのなら、他の人基本的人権を侵害しない限り、自分もしてよいのです。

2.聴くことに関連する権利
 聴くことに関連する権利もあります。「誰でも、まじめに聴き、受け止めて欲しいことを要求してよい」というものです。発言をしたのに、相手にバカにされたり、聞き流された時、相手に「まじめに聴いて欲しい」と言ってもいいのです。「自分がそんな目に遭うのは、嫌だけれど仕方がない」と諦めてしまう必要はありません。
 もちろん、自分の話が長くなりすぎたり要領を得ないことで、相手が聴く気をなくして聴いてくれないことはあります。もっと分かりやすく話せるよう努力は必要ですが「自分に話を聴いてもらう価値がない」のではありません。「聴いて欲しい」と思ってもいいし、相手にそう言ってもいいのです。
 反対に聴いている方は相手の話がわかりにくいからといって、聴く価値がないと無視していいわけではありません。分かりにくかったら、「もっと分かりやすく話して」と頼んでもいいのです。

3.言うか言わないか、聴くか聴かないかを「自分で判断した」という認識をもつ
 権利を持っているからといって保障されるわけではありません。また、権利があるからといって使わなければいけないわけでもありません。「アサーションをしていいよ」ということであり、「アサーションをしない」ということも選べるのです。
 私たちはいろんな場面で「今言ったらまずい」とか、「このことは嫌われるかもしれないから言わない方がいい」と瞬時に状況を判断して言動を選んでいるものです。しかしそれは、しっかりと意識して選択したわけではなく、「あの人が怒りっぽいからいえない」とか、忙しそうだから「言えるわけない」と思い込んでいるのです。だからなんとなく、相手次第、状況次第で、できたりできなかったりしています。そしてできなかったことを他の誰かや周りのせいにして、恨んだり無力感に襲われたりすることもあります。

 「私の不利になるから言わないことにした」あるいは「嫌われたくないから黙っていよう」と、言うか言わないか、聴くか聴かないかを、自分で決めたということを、分かっているかどうかが重要です。自分が決めたことだと分かっていれば、周りのせいにしなくてもすみます。そしてこの状況が嫌ならば「嫌だ」と自己表現してもいいのです。

 基本的人権に義務は生じませんが、役割や契約、約束に伴う権利には義務が生じます。私たちは、一人の人間であると同時に、さまざまな役割を担って生きています。職業人であり、役職があります。そして誰かの子どもでああったり配偶者であったり、親であったりします。そういう中で「今、自分はどれを優先させるか」を、あまり意識せずに選んでいるのです。自分の行動を「この権利を使うか使わないか」「どれを優先させるか」など、少し意識してみると行動が変わっていくでしょう。

 忘れてはいけない大事なことは、自分に権利があるということは、相手にも権利があるということです。たとえば、何かものを頼む時、こちらには「頼む権利」がありますが、頼んだ相手には「断る権利」があるので、いつでも必ず引き受けてもらえるとは限らないのです。そのことを受け入れるという覚悟が必要になります。断られたときに「すぐに引き下がる」か「もう一度頼んでみる」か「妥協案を出してみる」かなどを、自分で決めることができるのです。

 自分の権利しか頭にない時には、相手に断られることなど思いもしなかったり、断られて相手を悪く思ったり、何としてでも引き受けてもらおうと押し付けてしまうかもしれません。アサーティブであれば、自分の権利を大事にしながら、相手の権利を侵さないで、両方の言い分を話し合うことができますし、どのような結論になっても爽やかに終わることができるのです。
 アサーションとは、自分が感じたり、考えていることを表現してもいいということですが、表現するかしないか、するとしたらどこをどのように見せるか、自分で決めることができます。人生は毎日一つ一つのことが自己選択の連続です。そしてかなりのことは、自分で決めることができるのです。


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