F&Aレポート

F&Aレポート 2012年11月10日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

美しい「盃」(「さかずき」)の持ち方

 立冬を迎えました。日本酒が美味しく感じられる季節です。最近はビールや酎ハイといった、手軽に飲めるアルコール類が豊富にあるので、銚子と盃で熱燗を楽しむ機会は少なくなってきたような気がします。それでも、日本人なら日本酒のたしなみ方は身につけていたいもの。貴方は、あの小さな盃をどのように持ちますか?今回は、「礼儀作法入門(山口瞳著)」から、意外に知られていない盃の持ち方、そして飲み方についての抜粋してみました。

 まず、盃を持ってくれたまえ。無意識でいい。そうだ。誰でも、ヒトサシユビとオヤユビで盃を持つだろう。ナカユビを盃の下部に軽く添える人もいるかもしれない。それでいい。この際、ヒトサシユビとオヤユビは、盃の円の直径を指し示す形になる。これも自然にそうなるはずである。そうでないと盃は落ちてしまうし、落ちないまでも不安定で、余分な力を必要とすることになる。
 そうやって盃を持ったら、これを唇に近づける。そうして、ヒトサシユビとオヤユビの中間のところから飲むのである。この際に、舐めるようにではなく、盃の中の酒を口の中に放り込むようにして飲む。これが正解である。これが見た目のきれいな酒の飲み方である。こうやって飲むと、向かい合っている相手から盃がかくれるようになる。芝居なら、観客から盃と唇とがかくれるようになる。実際にやってみてくれたまえ。
 宴会に行く。芸妓が来る。まあ一杯どうだろうということで酌をしてやる。このとき、若い芸妓がこの動作で、手の甲を見せて、サッと放り込むようにして飲んで、ご返杯と言って盃を突き出したらキレイじゃないか。私なら惚れちまうね。惚れないまでもいい気分になる、、、
 あんな小さな盃に美学があるんですね。今夜あたり、盃で一杯試してみたくなりますね。

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