F&Aレポート

F&Aレポート 2012年11月10日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

日本語力を磨こう「あなたは日本語ペラペラですか」12
助詞「てにをは」と接続助詞のルールを押さえて、分かりやすく伝える


 普段の会話では、「このケーキ、美味しいね」など、「は」や「も」といった助詞の省略が一般化している。ここに「は」「が」「も」などが入ると、特別な意味が含まれる。「このケーキは美味しいね」と言うと、他と比較してこのケーキが美味の意味。「このケーキが美味しいね」だと、複数のケーキの中でも、これが美味と強調した表現になる。
 プレゼンで「私が説明させていただきます」と毅然と言い切れば、聴き手に自分を強くアピールできる。公的な場やビジネス上の会話、ビジネス文書には当然「助詞」が入る。助詞一つで文章のニュアンスは変わる。まずは助詞のルールからチェックしてみたい。(日経おとなのOFF参考)

1.助詞「てにをは」
(1) 「を」で意思を明確に
<蕎麦でお願いします VS 蕎麦をお願いします>
「うどんか蕎麦か」と聞かれたとき、「蕎麦で」とやんわり応じるのが最近の傾向。しかし、「これで」ではなく「これを」と、自分の意思をはっきりと相手に伝えたほうが積極的に選択したことが伝わるし、誤解も少なくなる。

(2)疑問の受け答えは「が」が基本
<私はやります VS 私がやります>
どちらも似たように思われがちだが、明らかに用法が違う。疑問の受け答えには「が」を使うのが基本。「誰がやるの?」という疑問の答えなら「私が」を使う。説明文なら「私は○○をやります」でも構わない。

(3)フォーマルな雰囲気を演出する
<東京に行きます VS 東京へ参ります>
<本日から開催します VS 本日より開催いたします>
会話ではほとんどの人が「東京に」「本日から」を使っている。そこで文書では、少し古い用法である「東京へ」「本日より」を効果的に使うと、フォーマルで雅な雰囲気が高まる。宴席の司会役が話すにも最適。

2.接続助詞「おかげで」「せいで」「だが」「れば」「なら」「ため」
〜「相手の予測」を裏切らない文にする

(1)× 君のおかげでひどいミスをするところだった
   ○ 君のおかげでひどいミスをせずにすんだ
「おかげで」は本来、第三者や物事に感謝する時に使う肯定的な意味の接続助詞。否定的な意味で「おかげでひどい目に遭った」などと使いがちだが、これは皮肉の表現。

(2)× 君のせいで会議に間に合った
   ○ 君のせいで会議に遅刻した
「おかげで」の反対に、その後に否定的な意味の言葉が来る場合は「せいで」を使うのが正しい。会議に間に合ったのなら「おかげで」という言うべき。悪いことを引き起こした原因、理由を示す時には「せいで」を使う。

(3)× 東京に行くなら、スカイツリーは見ないほうがいいです
   ○ 東京に行くなら、スカイツリーは見るべきです
「なら」は「日本酒なら○○酒店」のように物事や行為を勧める時に使うもので、その後に否定文が入ると違和感を抱く。否定するなら「行っても」「行ったとしても」のように「ても」を入れるのが正解。

(4)× 全部入力し終わったため、資料が完成した
   ○ 全部入力し終わったため、修正がきかなくなった
多くの人が勘違いをしているが、「ため」は悪い結果を招いた時に使う言葉。「ため」の後に「完成した」と良い結果をつなぐと違和感が生じる。

(5)× 熱いコーヒーを飲めば、やけどするよ
   ○ 熱いコーヒーを飲めば、体が温まるよ
「コーヒーを飲めば」「食べるなら」などの「れば」「なら」は、結果が肯定的な場合に使用するのが一般的。否定的な結果のときは「たら」「と」を使ったほうが、相手に意図が正確に伝わる。

(6)× 薬を飲んだが、咳が止まった
   ○ 薬を飲んだが、咳が止まらない
「だが」は、前の言葉の内容に反することを述べる時に使う逆説の接続助詞。「薬を飲んだけれど風邪は治った」など、話し言葉では前提を示す際に、順接の意味でも使われることがあるが、相手に誤解を与えてしますおそれがある。
☆「次はこういう展開になるんだな」と、読んでいる相手や聞いている人の予測を裏切らない文章にまとめることが、分かりやすい文章になる秘訣である。

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