F&Aレポート
特集 そうだったのか!天ぷらのいただき方
ある作家が、「天ぷらは、出て来たら物も言わずにガツガツと食べるのが礼儀だ。おしゃべりしながら、のらりくらりと食べていたら、せっかく揚げたてを出してくれた店の人に申し訳ない」と、言っていたことがあります。たしかに、天ぷらは揚げたて勝るものなし。アツアツで衣がサクサクしているうちに美味しくいただきたいですね。
[手前から盛りつけを崩さないように食べる]
天ぷらは、たいてい何品か盛りつけしてあります。他の料理と同じように、上または手前から盛りつけを崩さないよう食べます。また、かき揚げは箸で一口大に割ってからいただきます。大きな海老などは、かじっていただいてもいいのですが、あらたまった席では、懐紙で口元を隠すようにすると品が良くなります。また、かじった後の天ぷらが、いつまでも天つゆの中に入っているのは、感じのいいものではないので気をつけたいですね。
[大根おろしと天つゆ]
大根おろしは、天つゆに一度に入れてしまわず、少量ずつ加えるようにすると、大根おろしの風味が消えずに最後まで美味しくいただけます。また、天つゆはつけすぎると衣がはがれてしまうので、天ぷらの端にさっと浸す程度にすると、衣のサクサク感を失わずにいただくことができます。
[天つゆの器は持っていただく]
天つゆの器に限らず、日本料理の食器には手に持って良い器と、持ってはいけない器があります。持つべき器を持たないのも、持ってはいけない器を持って食べるのも、どちらも不作法になります。和え物などの小鉢、汁物のお椀、茶碗蒸しの器、天ぷらなどのつけ汁の器、ご飯茶碗などは、持って良いです。くれぐれも「手皿」で受けることのないよう、これらの器は持って食べましょう。器から箸で料理を取って、口まで運ぶとき、こぼすのを気にして左手を皿のように添えるのはタブーです。