ボストーク -- Boss Talk --

湊町レター Letter From Minato-machi 2012年10月1日 16
2012/10/19

 10月です。史上もっとも暑かったと言われた9月が終わり、やっと秋を迎えました。特に今年は節電が徹底されたこともあり、ホッとされてる方も多いのではないかと思います。節電と言えばクールビズ。ビジネスの場では、男性のノーネクタイもすっかり定着しました。以前は10月1日からネクタイ着用のところが多かったようですが、最近は10月いっぱいまでノーネクタイ可というところも多く、電車に乗ると、まだノーネクタイの人が多いような気がします。私も10月に入ってネクタイを締めてみましたが、やはり窮屈な感じがして、外してしまいました。こうやってファッションは変わっていくのかもしれません。

 さて、今月のテーマはやはり尖閣諸島問題。が、日中両国の反応(どちらかというと中国側の報道が多い?)や歴史的経緯等についてはすでにあちこちで公表されていますから、ここでは、この問題を通して私たちは何を学ぶか?について考えます。

 まず、尖閣諸島問題について、両国政府と国民がともに満足できる形で、明確な決着を図ることは不可能です。逆に言えば、それが外交であるということです。勝敗が明確になることが多い戦争と比べて、国境問題のような繊細なテーマでは、国内世論を考えてどちらも引くに引けず、国家間で決着が図られることはほとんどありません(例外はあります)。外交はスポーツではありません。また、表面的には負けていても、実質的に勝利を勝ち取ると言うことも大いにあり得ます、この外交とはどのようなものか?について私たちは十分学んだのではないでしょうか。

 次に交渉力の問題です。日本人よりも欧米人の方が交渉に関してはタフだとよく言われます。中国人も、世界中に商売を展開するたくましい民族ですが、今回の問題でも、主張の優劣については、日本政府よりも中国政府の方が1枚も2枚も上のように感じられます。ビジネス上でも、相手方から、こちらがまず飲めないような注文をされることはよくあります(税務調査における税務署の主張も同じかも)。それをどのように切り崩し、お互いに承諾できる部分までもってくるか、テクニックだけではなく、とにかくタフであること、柔軟であることが求められると思います。グローバル化が進む世界では、日本人が交渉力を身につけることは最優先で進められるべき問題かもしれません。

 最後は報道の問題。マスコミでは、特に目立つ部分が報道されます。今回も、日本系の商店や飲食店が焼き討ちに遭っていることがテレビ等で放映されました。あのような焼き討ちがあること自体、中国自体まだ成熟した国家ではないという証明ですが、それはさておき、同じ時期に中国に行っていた私の知人は、そのような現場に出くわしたこともなく、ごく普通に仕事をしてきたそうです。報道を鵜呑みにして感情的な反応をしないことも大切ですし、マスコミが報道できるのは世界のごく一部だと認識する必要があります。

 せっかく日本の良い季節になったのですから、あまりカリカリせず、じっくり学んで、本当に国益につながることを考えたいものです。